株式会社ニコン デジタルマニュファクチャリング事業
Japan

金属AMの未来を切り拓く。Nikon SLM Solutionsで挑戦を続けるプロフェッショナルたち

Nikon SLM Solutions

2026.10.2

Nikon SLM Solutions(以下Nikon SLM)は、金属積層造形(AM)分野におけるニコンの中核事業として、金属3Dプリンティング技術を活用した先進的な製造ソリューションを提供しています。業界トップクラスの造形性能を備えた装置と、お客様の課題に寄り添う技術サポートを通じて、航空宇宙、防衛、エネルギー、半導体など幅広い産業分野のものづくり革新に貢献しています。高速・高品質な造形技術だけでなく、試作から量産までを見据えた包括的な支援体制も大きな特長です。こうした価値を支えているのが、高度な専門性を持つ社員たちです。
今回は、その一人、Josephin Enzさんにお話をおうかがいしました。

──これまでのキャリアや、Nikon SLMに入社されたきっかけを教えてください。

学生時代、私は機械工学材料科学を専攻していました。学生の頃は早い段階から溶接技術、特にレーザー溶接に興味を持ち、国際溶接エンジニア※の資格も取得しました。博士課程では、溶接が困難な材料のレーザー溶接や異種材料接合を研究し、博士号取得後には、レーザーを用いたアディティブマニュファクチャリング(付加加工、以降、AM)の特性評価に関する研究グループのリーダーを務めました。研究を通じて得た知識を、実際の製品や技術開発に活かしたいと考えていたので、Nikon SLMの Future Technology 部門での求人を見た時、「ぴったりだ」と思いました。研究とビジネスの橋渡しができる環境だと感じ、入社を決めました。
※国際溶接学会の組織の一つである IAB(International Authorization Board)が認定した世界各国の認証機関によって認証される、国際溶接技術者の資格の一種

Dr. Josephin Enz Nikon SLM Solutions AG Future Technologies Department Senior Development Engineer & Expert Researcher
Dr. Josephin Enz 
Nikon SLM Solutions AG
Future Technologies Department Senior Development Engineer & Expert Researcher

──現在担当されている業務について教えてください。

5年前に入社以来、一貫してマルチマテリアル3Dプリンティング技術の研究開発を担当しています。4年間、開発エンジニアを務め、2025年4月に上席開発エンジニアに昇格し、同年10月にはエキスパート研究員にも任命されました。このエキスパート研究員という役職は、Nikon SLMにおいて次世代技術系リーダーを育成するためのキャリアパスの一環です。
私が担当している技術について説明すると、Nikon SLMの金属3Dプリンターは、金属粉末を敷き詰め、その上からレーザーで必要な部分だけを溶融して固め、積層していくL-PBF方式を採用していますが、従来は1種類の材料しか使えませんでした。私たちが開発している技術により、 1つの部品に2種類の材料を任意の位置に自由自在に使用できるようになります。第2の材料が使えるようになることで、設計や機能に新たな自由度が生まれ、これまでになかった可能性が広がると考えています。
私たち専任エンジニア4名のチームは、プロセス開発、材料の導入・適用、装置の改良、そして顧客との共同開発に取り組んでいます。これまでに欧州やドイツの研究助成プロジェクトにも採択され、最近では産業パートナーから試作依頼を受けるようにもなりました。AMが産業界の戦略的なドライバーとなり、設計や生産の考え方そのものを変革しつつあるところを目の当たりにできるのは、とても刺激的です。

──印象に残っているエピソードを教えてください。

初めてマルチマテリアル3Dプリンティング技術で小さな立方体を造形できた時の感動は忘れられません。その日の帰り道、運転しながらアスファルトが灰色から赤みがかった色へと変わっていくのを見て、ふと「あっ、私のマルチマテリアルの造形物みたい!」と思いました。この瞬間、自分自身がどれほどマルチマテリアルに没頭しているのかを実感しました。
もう一つ印象に残っているのは、入社1年目に私たちのチームが EUの助成プロジェクトに採択された時です。採択率が非常に低いのですが、初めての挑戦で採択され、とても誇りに感じました。

──どんなときに仕事でやりがいを感じますか?

マルチマテリアル3Dプリンティング技術は、いまだ未開拓な領域が多くあります。まだ誰もやっていないことに挑戦し、「世界で初めて」の発見に立ち会えることがやりがいです。チーム内では常に新しいアイデアを持ち寄っており、そのような革新的な環境で働けることにワクワクしています。

マルチマテリアル3Dプリンティング技術で造形した試作部品(材料:銅合金 CuCr1Zr、マルエージング鋼 M789)
マルチマテリアル3Dプリンティング技術で造形した試作部品(材料:銅合金 CuCr1Zr、マルエージング鋼 M789)

──マルチマテリアル3Dプリンティング技術の面白さはどんなところですか?

材料は製品の根幹であり、特に金属は製品設計に高い柔軟性をもたらす点が魅力です。レーザーを用いた加工プロセスは、材料科学や溶接技術、その他の積層造形技術など、幅広い分野と密接に関わっており、これまでに培ってきた研究や経験をすべて活かすことができると感じています。また、マルチマテリアルによって新たな設計の次元が加わり、これまでにない方法で部品の機能を最適化することができます。この可能性の広がりは、私にとって非常に大きな刺激となっています。

──仕事で大切にしているモットーはありますか?

常に好奇心を持ち、新しい学びや挑戦を続けることです。いつも改善の余地はあると考えていて、知りたいという思いと向き合う姿勢がイノベーションを前進させると信じています。

──今後の目標を教えてください

私にとってマルチマテリアル3Dプリンティング技術は「自分の子ども」のような存在です。この技術が研究開発段階から抜け出し、Nikon SLMの正式な製品として市場に広く提供できるようにすることが一番の目標です。

専任エンジニアチーム
専任エンジニアチーム

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